東京都中野区に住んでいる三好亜矢子です。 おしゃれにエコシフトする中野区民31万人の挑戦に向けて、 日々是学習、思考、行動。 「まちをデザインする」を執筆中。

2009年11月1日日曜日

施設が「おうち」に進化する


 上野さんの在宅重視のお話しの関連です。「家」であることを追求した施設もあります。



●塀も看板もない「おうち」


 昨年秋に、鳥取県西伯郡南部町落合にある特別養護老人ホーム「ゆうらく」を訪ねました。


米子市駅前から車で15分ほどの距離、田園風景のなかに白を基調にした瀟洒な建物です。56歳で急逝した福祉施設にユニットケアなどの先端的なコンセプトを導入した建築家の外山義氏が設計した最後の作品。一万5千平方メートルの敷地に対して、3階の建物の延べ床面積がおよそ6500平方メートルとゆったりしています。


●おしゃれなリビング

 92名全員が個室を持つと同時に、9つのグループに分かれユニットケアが行われています。ほとんどの方は認知症です。それぞれのユニットのリビングは中庭に面すると同時に外の景色も目に入るようにデザインされていて、内と外の両方に視野が広がります。フェンスも門扉もありません。隣りの田んぼで一仕事した近所のおばちゃん、おじちゃんが、一服しにリビングの縁側にやってきます。


 ユニット同士はまっすぐな廊下でつながらず、それぞれが素通しにならないよう、目隠しの曲がり角を持ちます。コンセプトは収容する場所ではなく、生活する場所として「家」としての雰囲気を作り出すこと。そのための最大の要素が建築というハードです。そこに住む人たちにとっての居心地の良さや気持ちの良さを最大化することです。施設の「おうち化」がここでは実現しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿