東京都中野区に住んでいる三好亜矢子です。 おしゃれにエコシフトする中野区民31万人の挑戦に向けて、 日々是学習、思考、行動。 「まちをデザインする」を執筆中。

2009年8月13日木曜日

サンフランシスコ市に学ぶ~建築確認ではなく許可へ~

 昨日(8月6日)の朝日新聞朝刊に「派遣規制で署名合戦」という記事が出ていました。
派遣労働の規制をめぐり、人材派遣業界が「規制強化は雇用機会を減らし、労働者にも不利益になる」と規制強化に反対する署名を6月下旬に始め、7月末までに約54万人分を集めたとのことです。署名を始めたのは、仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣の原則禁止などに踏み込んだ労働者派遣法改正の野党案がまとまったのがきっかけ。
 それに対して、労働団体も規制強化を求める署名を集め始めたそうです。「働く女性の全国センター」の伊藤みどりさんが記事のなかで次のように述べています。
 「派遣法を改正すると仕事がなくなるというが、なくなるのは仕事ではなく派遣という働き方。業界は署名集めの前に派遣業の問題点を改めるべきだ」
 
 この記事を読んで、来週の土曜日(8月22日)にお話しいただく五十嵐先生たちが提唱し、積極的に進めている都市計画法改正を求める署名活動に連想が行きました。
 
 その署名を集めるにあたり、中野区の住民の一人が「住民本位の都市計画にするため規制強化すれば、デベロッパーやマンション業者がつぶれるのではないか。日本経済はそれでよいのか」と心配していました。
 私はこの心配は発想のベクトルが違うと思います。都市計画そのものがなくなる訳ではありません。地権者本位の都市計画がなくなるだけです。私たち住民がまちづくりの主人公として、どういうまちに住みたいのか、どういうまちを子どもたちに残したいのかを都市計画マスタープラン(都市マス)に描き、それに整合した都市計画を誘導していくことが求められています。
 例えば、サンフランシスコ市では、毎年、住宅戸数の上限とオフィス面積が年間47万平方フィートと決まっているそうです。その枠内で、より充実した建設計画案を提出した業者が建設を許可されるそうです。皆さん、ご注意ください。日本の建築確認ではありません。建築許可です。
 サンフランシスコ市の都市マスとの整合性が高ければ高いほど、例えば、保育所が併設されている、あるいは太陽光などエネルギーの自給率が高い、1階部分に地元の商店が入ることになっている計画など総合得点が高いところほど、順番に許可されていきます。
 番外になった業者は出直すしかありません。サンフランシスコ市はそれだけのことを求めているのです。
 その方式を日本に導入するとしたら、都市マスへの市民の意見の反映や事業者の計画をフェアに審査するシステムなど問題山積です。しかし、政権が変わろうとする今がチャンス。
 中野区でも何ができるのか、提案したいと思います。