東京都中野区に住んでいる三好亜矢子です。 おしゃれにエコシフトする中野区民31万人の挑戦に向けて、 日々是学習、思考、行動。 「まちをデザインする」を執筆中。

2009年8月4日火曜日

「慰安婦」展 戦争と女性を考える





撮影:本橋成一
    2002年
イラク・ウルク渓谷
 





                                        http://www.shinhyoron.co.jp/cgi-db/s_db/kensakutan.cgi?j1=4-7948-0604-3
 三鷹のロラネット(フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩」が8月1日から3日にかけて主催した「中学生から大人まで誰にもわかりやすい『慰安婦』」展に、昨日、行ってきました。

 同団体はフィリピンと関わる市民団体が2000年に集まって結成し、フィリピンのNGO「リラ・ピリピナ」(元「慰安婦」のロラ(タガログ語でおばあちゃんの意)たちの共同生活を支援)のサポートやロラたちを日本に招いての交流、またロラたちのことを知り、伝えていくために学習会やスケッチ展、ワークショップなどを企画・開催しています。 
 私は大学卒業直後、2年余りフィリピンに留学したり、1989年から3年間、24時間テレビの医療・保健プロジェクトの責任者としてマニラで働いていた関係上、彼らと10年以上前からお付き合いがあります。
私も編者の一人として参加し、2004年に新評論から出版された「平和・人権・NGO」にも、ロラネットに寄稿していただきました。(上掲写真・左上)
 
●右翼(在日特権を許さない市民の会)からの攻撃
 ロラネットでは数年前から今年と同じような「慰安婦」展を行ってきましたが、右翼から今年ほど執拗な攻撃を受けたことはなかったそうです。会場の市民協働センターは目抜き通りから1本横に入った静かな住宅街のなかにありました。センターの真ん前の駐車場には日章旗やのぼりを押し立てた人々が街宣車を従え、シュプレヒコールをあげていました。その数、100人を超えていたと思います。

 三鷹駅からの途中、近くの商店街で警戒に当たっていた20代のおまわりさんに会場への道順を聞きました。曰く、「荒れていますから、できるなら行かない方がいいですよ」同センターの入口には、三鷹市市役所職員と覚しき男性が数十人、ピケを張るように仁王立ちしていました。「ここから入ればいいのですか」との私の問いにも一切、答えず、立ちふさがったままでした。敷地内にいる市民グループ関係者と覚しき中年男性に「入りたいのですが」と呼びかけました。「あなたが駐車場にいる人たちの仲間ではないことがわかればよいのですが」との答えが返ってきました。主催者の友人の名前をあげ、入場がやっと許可されました。
●対決ではなく、対話こそ
 
 「従軍慰安婦」の存在を歴史からなかったものとして消し去りたい人々の渇望の強さを改めて思い知りました。それに屈せず、展示をやり抜いたことには心から敬意を表します。
 しかし、一方で私は違和感を感じたのも事実です。敵か味方かを峻別し、市職員たちによって守られながら学習会を持つことにも疑問を感じたのです。私が出かけたのは月曜日でしたが、前日の日曜日はもっと大勢の右翼が動員されていたそうです。大変な事態であることはもちろん、間違いがありませんが、違う対処の仕方もあったのではないかと思います。
 例えば、入口は全面的に右翼の人たちも含めてオープンにする。右翼の人たちが逮捕も辞さない形で乱入し暴力を振るうのであれば、それこそ警察の出番です。あるいは、右翼の代表の方に会場に入ってもらってアジア各地の元「慰安婦」たちの証言を集めたドキュメンタリービデオを一緒に見たり、ディスカッションをするなどが考えられます。彼らが反対する理由をオープンな場で検証するとともに、主催者がその展示や学習会を通じて何を訴えようとしているのかについても意見を交換することも大切だと思います。
 ガードを固めたことによって、かえって一般市民が容易に近寄れない空間が生まれたことは、まさに右翼の人たちの目論見通りの展開だとも言えます。意見の異なる人たちとの非暴力に徹した付き合い方を追求する、それが平和をつくることだと思います。                       (つづく)
 
◆主催・連絡先:フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(ロラネット)
〒181-0014 三鷹市野崎3-22-16 ピナット気付
TEL:0422-34-5498 FAX:0422-32-9372 E-mail:hachinoko@ba2.so-net.ne.jp