東京都中野区に住んでいる三好亜矢子です。 おしゃれにエコシフトする中野区民31万人の挑戦に向けて、 日々是学習、思考、行動。 「まちをデザインする」を執筆中。

2009年9月12日土曜日

火事に弱いまち、中野






 9月1日の防災の日も過ぎてしまいましたが、今日は防災について少し、書きたいと思います。




 東京都では5年に1度、地域危険度調査を行っています。最新の調査は昨年、行われました。


その結果は以下のサイトをご覧ください。  http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/home.htm


 この危険度は大きく次の3項目で①建物倒壊 ②火災 ③総合で評価しています。中野のまちは、固い武蔵野台地に位置していますから、建物の倒壊の恐れはそれほど心配するレベルではありません。恐いのが火事です。危険度は最も安全を1、最も危険を5として5段階で評価しています。中野で最も危険な5とその次の4に該当している地域は、JR中央線よりも北では、警察大学校跡地の早稲田通りの反対側、新井1丁目、野方1~3丁目、5~6丁目、さらには環7近くの大和町1~4丁目などが入ります。南では、本町2丁目、4丁目、6丁目、中央3~5丁目、さらには南台の2~4丁目が該当します。 合計31町丁目。中野区全体が85町丁目ですから、36.47%、およそ4割に達します。中野区全域の半分近くが火事に注意が必要とされているのですから、大きな問題です。

 火災にどう備えるのか、大きくは次の3つがポイントです。

①火事に弱い密集市街地の不燃化

 画一的に6㍍に道路を拡幅するのをめざすのではなく、地域の事情に即した、ポケットパークの設置やフェンスの撤去など修復型のまちづくりが有効だと思います。また、非常時には隣地と通り抜け協定を地域単位で結ぶなどのソフトの施策も重要です。

②防火林の充実
 一次避難所に指定されている近隣公園の周囲に火に強いタイプの高木(トキワカエデなど)を植えます。平和の森公園(沼袋)は広域避難場所に指定されていますが、同公園の設計者である防災の専門家である村上慮直先生によれば、同公園の周囲に配置された防火林は剪定し過ぎていて、その役割が果たせるかどうか、はなはだ疑問だと言われています。
③水の用意
 墨田区が熱心に取り組んでいる路地尊の設置や、ビルやマンションへの防火水槽の設置義務化を定める条例など、中野でも是非、取り入れたいものがたくさんあります。蚕糸の森公園(杉並区)は広域避難場所に指定されていますが、地下に上水道施設を組込んだり、火の粉の侵入を防ぐシャワーを結界のように設置するなどのアイデア満載です。是非、一度、お出かけください。
●上記の写真は、私が中野区上高田の地元で防災について取り組んでいるグループ(上高田住民フォーラム)の仲間と一緒に、防火水槽の掲示板を設置しているところです。昨年、5年前に設置した掲示板を作り直しました。掲示板には、近くの防災倉庫の場所、消防団や防災会のリーダーのだいたいのお住まいの位置を示しています。
 防火水槽は大震災時など断水によって消火栓が使用できなくなる事態に備え、地下に消火用の水を貯める水槽。耐震性のある鉄筋コンクリートか、鋼製が多い。必要な敷地面積は20~30平方㍍。容量は木造住宅1軒が出火したとき、消火に必要とされる40㌧以上が望ましいとされています。
 2006年3月末現在、防火水槽の数はおよそ2万基。10年間で約5千基増加。ただし、全体に占める
公設水槽の割合は8151基で02年をピークに減少。民間のマンションやビルに設置が増えているものの、駅前などに偏り、住宅内の設置は足踏みしています。ポンプ車のホースが届く250㍍四方(メッシュ)に最低1基の防火水槽があるかどうかを充足率と呼びますが、23区内で300箇所の空白地域があります。
 
●そのため、以下の区では、設置を推進するため、条例をつくり、従来の指導から義務として強く
設置を求めています。
 世田谷区(http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/pdf/13146_2.pdf#search=世田谷区建築物の建築に係る住環境の整備に関する条例')や目黒、江戸川、墨田は防火水槽の設置を義務づけています。また、練馬、豊島、台東、江東、荒川、港、足立、新宿も指導から一歩、踏み込んだ条例をつくっています。中野には残念ながら、まだ、ありません。