東京都中野区に住んでいる三好亜矢子です。 おしゃれにエコシフトする中野区民31万人の挑戦に向けて、 日々是学習、思考、行動。 「まちをデザインする」を執筆中。

2009年11月25日水曜日

待機児対策、待ったなし ~行政と企業でできること~


●待機児は327名
 今年4月1日現在、中野区の待機児の数は旧定義(認可保育園への入園を求める人の数)で327名。実際にはその半数弱は認可保育園に入ることをあきらめ、無認可の保育所などに預けています。一方、「とても入れそうにない」と最初から申し込み自体をしなかった家庭も多く、潜在的なニーズはさらに大きいと考えられます。

●予想を超える保育ニーズ
マンション建設ラッシュの続 く江東区の例をあげましょう。同区は若いファミリー層の流入により2年前の待機児は352人。そのため、区としてマンション建設の要件として保育所設置の要綱を定める、認証保育所などを積極的に誘致するなど90億円を投資。その結果、1200人分の定員増を達成して一息ついたと思ったらとんだ見当違いだったそうです。あっという間にその枠は埋まり、さらに300人の待機児が出てしまったそうです。私は女性たちが悲鳴をあげているように感じられてなりません。「『男は仕事、女は家庭』なんて誰が決めたのだ」という叫びです。

● 働きたいママは8割
3歳未満の子どもを持つ女性 の就労率を欧米と日本で比較すると、欧米は6割ですが日本は3割弱に過ぎません。では、日本のママたちは働きたくないと思っているのでしょうか。内閣府の最近の調査によれば、ママたちの実に8割は保育環境さえあれば働きたいと答えているのです。仕組みがないばかりに能力も経験も豊かな女性たちが仕方なく家庭に引っ込んでいるのはとても大きな損失です。  11月24日、朝日新聞の夕刊でショッキングなタイトルの連載が始まりました。「女性活用小国のカルテ」です。国連開発計画09年版「人間開発報告書」の指標の一つ、女性の活躍度を示す「ジェンダー・エンパワメント指数(GEM)(注)」で日本は109カ国・地域のうち57位だったことが紹介されていました。
 1  スウェーデン
 2  ノルウェー
 3  フィンランド
 4  デンマーク
 5  オランダ
 6  ベルギー
 7  オーストラリア
 8  アイスランド
 9  ドイツ
       中略
    27日本(95年) 
 54 ホンジュラス
 55 ベネズエラ
 56 キルギス
 57 日本
 58 スリナム
 59 フィリピン
(注)1995年、北京で開かれた第4回女性会議をきっかけに女性の意思決定への参加度を見える形にするためにスタート。国会議員や管理職、専門・技術職の女性比率、男女の賃金格差などを評価。

「世界第2位の経済大国が57位なんて信じられない」というのが正直な感想でしょうか。しかし、環境が整備されないために女性が働きたくても働けないという現実を見れば、実態とかけ離れた数字とはとても思えません。
●思い切って取り組む
前述の江東区のように作って も作ってもなお、保育ニーズに応えられないという現実に対して、行政には待機児は何が何でも出さない、100%答えるという断固たる姿勢が求められていると思います。子どもの社会性を高める、濃密過ぎる親子関係にゆとりを持たせるなどの集団保育のメリットは数多いですが、私が強調したいことは一つ。なぜ女性が母親になった途端に働くことを我慢しなければならないのかという点です。
●男性の育児休業取得を応援
 待機児問題の影であまり取り上げられないのが男性の育児休業の取得率の低さです。少し前の数字ですが、2003年、女性の取得率64%に対して男性は0.33%でした。男女に変わりなく育児休業法の改正により、取得期間が現在の1年から1年6ヶ月に延長され、休業時の給付金も休業に入る前の賃金の50%が給付されることになりました。男性の子育てを社会の文化として積極的に応援することが大切だと思います。(続く)